こんにちは✨
姫路城下町の隠れ家的なお店
サイズのセレクトショップUMEYAです😊
最近、「お洋服の目に見えないコストダウン」についてのネットニュースを目にしました。その話題は「安価な無名ファスナーが目立つようになっている」という内容でした。
お洋服のパーツとして、ジャケットやパーカー、パンツ、スカート、ワンピースなど多様なアイテムに用いられているファスナーですが、物を買う時にデザインや素材、価格のチェックは念入りにしても、ファスナーの素材や銘柄をチェックすることはあまりないかもしれません。
しかし、この「ファスナー」には、洋服選びの際に知っておきたい大切なポイントが隠されています。
この話題は、「洋服は価格が最優先」とお考えの方にはあまり関係のない話題かもしれません。けれど、製品の値段に関係なく、「気に入ったものは出来るだけ長く使いたい」とお考えの方は、いちど最後までご覧いただきたい内容となっています🙌
それでは、よろしくお願いいたします。
ファスナーには「種類」と「ブランド」がある
一言にファスナーと言っても、様々な種類が存在しています。
(ファスナー = チャック、ジッパー)
各部の名称と、その種類を簡単にまとめてみました。
画像引用元:https://lyncs.ykkfastening.com/shop/pages/about_products_12.aspx
- スライダーとエレメント: 「金属製」と「樹脂製」があり、スライダーのつまみ部分も多様。
- テープ: 製品の色に合わせて採用されます。
- 下止: 固定されるタイプと、左右に分離する「オープン」タイプがあります。
- 長さ: 製品によって異なります。
そして、ファスナーにもブランドが存在します。国産で世界的にも有名なブランドとして「YKK」が最もメジャーな存在でしょう。製造者ではなく、私たち物売りの様な人間でも「YKKのファスナーであればひとまず安心」と思うほどです。
このように、ブランドの刻印が見えますね。
YKK社以外にも、国内外のファスナーブランドはいくつも存在しますし、製品のブランド名が刻印されている場合も、ちゃんとしたファスナーメーカーで別注していると判断してOKだと思います✨
このようなブランドファスナーは品質管理がしっかりと行われており、ファスナーとしての機能、耐久性が一定程度保証されていると言っていいものです。
しかし、【ブランドファスナーではない「無名ファスナー」が使われる場合が増えている】というのが先のニュースの話題でもありました。その理由は「コストカット」という事でしたね。
小売価格ベースでの話になりますが、ブランドファスナーは部材だけでも数百円〜数千円するのに対し、無名ファスナーは数十円から手に入ります。この価格差が、製品価格を数百円〜千円単位で下げることに繋がるため、安価なファスナーへの変更が進んでいる・・・というわけです。
安価なファスナーに潜む「落とし穴」とは?
安価な無名ファスナーの一番の問題点は、品質のバラつきが激しい点です。
通常、何年何十年と使い込んでやっと起きる様なトラブルが、新品の段階から発生する確立が高い傾向にあります。
※ご注意ください
「無名だから全部トラブルになります。」という話ではありません。
例えば、次のような事例が実際に発生しています。
- スライダーの破損:お店に並ぶ新品が、試着の段階でスライダー破損してしまった。
当店で発生した悲しいトラブル😢
- 開閉のスムーズさの欠如:お客様から「動きが渋い(ガリガリして開けにくい、閉めにくい)」「硬くて動かない」といったお声を聞くことがあります。
- 閉めたのに口が開く:ファスナーを閉めたはずなのに、なぜか口が開いてしまうという不具合も。
当店で修理の依頼を受けた別店舗さまの商品です
…などというトラブルが多いです。
当店に入荷した商品で、同じ製品の色違いにも関わらず、なぜか一色だけYKKではないファスナーが使われており、不安を感じたため取り扱いを断念した例もあります。
もちろん、「無名だから全て壊れる、ブランドファスナーなら絶対に安心」というわけではありませんが、長年洋服や雑貨を扱ってきた経験上、安価な無名ファスナーはトラブルの発生率が高いというのが実情です。
元仕様でのファスナーのお直しは「高確率で不可能」😅
「安物で壊れたとしても、直せば問題なし」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、思い通りに簡単には直せない事情があります。
その最大の理由として、製品に使われているファスナーは「専用品(別注品)」が多いことが挙げられます。手芸用品店やwebショップには多くの種類のファスナーが規格品として並んでいますが、製品に使われている物と同じスライダー(つまみ)やエレメントの【形状、色、素材、長さ】を見つけることは非常に困難です。
たとえそれが運良く見つかったとしても、最後の難関は「テープの色」です。
なぜそのような事になるかと言えば、工業製品としてのお洋服を作る際には、当然ながら1枚や2枚という事はありません。少なくても数十枚~数百枚の同じお洋服が作られるわけで、その分同じ数のファスナーが必要になります。その場合、規格品よりもまとまった数のファスナーを別注したほうがコストがまとまりますし、何より色や材質、デザインに合ったファスナーを選択することが出来ます。
(製造メーカー談)
以前、無名ファスナーの不具合でお直しした際には、元の薄いカーキ色のテープに合う既製の部材が見つからず、単品の部材で手に入るファスナーはベージュか明るいグレーしか選べませんでした。
最終的には、元の製品とは見た目がガラッと変わってしまうことを承知で、ベージュ色でのお直しとなりました。さらに、既製部材では長さが足りず、ファスナー部が短くなってしまうという妥協も必要でした。
このお直しにかかる費用は、技術料として
・ファスナー取り換えが3,800円
・部材代が500円
でした。
元のお洋服の値段を考えると、皆さんはどうお考えになりますでしょうか?
ボタンや留め具の付け替えとは比較にならないほど、高額で難しいお直しになるのがファスナーなのです。
大切な洋服を長く着たい方へ
このお話は、「価格最優先」とお考えの方には全く関係のない話題かもしれません。
しかし、「せっかく気に入って買う物だから、より良い状態で長く使いたい」とお考えの方にとって、ファスナーは【見逃しがちな重要ポイント】です。購入する段階で、ファスナーの品質に気を付けておくことが、結果的に長く愛用できることに繋がります。
たかがファスナー。されどファスナーです。
個人的な話ですが、買い物の際にファスナーが付いている場合は、必ず状態を確かめてから購入します😊ブランドファスナーであれば安心OK。無名ファスナーであっても、スライダーの動きやガタつきといった問題なければ良しとします。さすがに今の時代に「ブランドファスナーの物しか買わない」なんて言うと、選択肢が無くなりますから😅
「気に入ったものは長く使いたい」同じ想いの皆さんも、ぜひ参考にしてみてください。
何を大切に考えるかは製造、販売側にもよく考えて欲しい
しかし、冒頭のニュースのように、ファスナーの質を落としてまでのコストカットが増えているのはちょっと残念です。時代を鑑みての製品価格の値下げ理由での採用ならまだ理解できますが、企業の利益優先で採用されている場合は最悪(私個人の感想です)。そんな先は、UMEYAなら取引きを止めます🤔
というわけで、
【お洋服選びの隠れた落とし穴】(ファスナー編)というお話でした。
どうやら安価な無名ファスナーが市場には増えているようですので、ご購入時にはファスナーの動きやガタつきなど、今一度のご確認をお勧めいたします。
長文を最後までお読みくださり、ありがとうございます😊
姫路城下町の隠れ家的なお店
サイズのセレクトショップUMEYAでした✨
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